インディーズ_地方アイドル楽曲部門
1位 茜 / tipToe. :3pts.
地方都市の学校に通う少女たちが演じる、日中や放課後のふわっとしたポップな明るさが前作『magic hour』のテーマならば、夕刻から夜に至る時間の変化とそれに伴う切なさ、そして内側から静かに溢れ出す行き場のない情熱を歌い上げたのが『daydream』だろう。中でも本作は、恋心を抱きながらも、それを伝えられないまま、茜色の空を見上げる少女の満たされない思いが、ギターの印象的なサウンドと共に、前作より声に厚みを増したtipちゃんによってこれ以上ないほどエモく歌われる。「みんなで青春しませんか?」がコンセプトのアイドルのひとつの到達点。本年度ベスト。
2位 タイムマジックロンリー / nuance :2.5pts.
佐藤嘉風、フジサキケンタロウ、劇団鹿殺しの試行錯誤の果てに生み出させたキメラ的なイカれた楽曲。定型を破った構成、異常なコード進行、随所に挿入される謎のオッサンのセリフに、高速の歌詞が詰め込まれ、他のどのアイドルソングとも似つかない強烈な個性を放っている。高密度な音楽が矢継ぎ早に展開するので、ライブでもオタクに休む暇が与えられずとにかくブチアガる。映画でのハリウッドに対するニューヨーク派のように、東京に対する横浜派とでも呼ぶべき独自の存在であってほしい。
3位 バタフライエフェクト / RAY :2pts.
For Tracy Hydeの本格的なシューゲイザーでオルタナティブなサウンドが気持ちよすぎる名曲。音圧の強い轟音ギターと無垢で繊細なボーカルの組み合わせが絶妙で、「ジャンル✕アイドル」の掛け算には無限の可能性があると確信させられる。ノイジーな画面に夜の風景や少女が断片的に映り込むMVもGOODシューゲイジング。そうすべてはLoveless。
4位 極LOVE浄土 / クマリデパート :1.5pts.
EDM調の楽曲中心だったクマリデパートが、編曲にダンス☆マンを迎え、ハロプロ方面のアイドルディスコへと大胆な路線変更を行った一曲。「平和」と「令和」の押韻、「マジ卍」「タピタピ」といった流行の記号を散りばめ、日本の未来を応援するという、露骨なモー娘。イズムの反復には、衝撃と共に感動させられる。カップリング曲『眠れない夜は。』は、こちらも明白にPerfume『マカロニ』を意識しており、アイドルの歴史を継承して、なんとしても売れてやるという強い意志も含めて応援したい。
5位 ヒューリスティック・シティ / フィロソフィーのダンス :1pts.
奥津マリリのサビにはじまる印象的メロディで聴くものすべてのハートをガッチリとらえるフィロのスの優勝ナンバー。従来の80'sファンク、ポップから、90'sテイストも取り込み、そのサウンドはさらに表現の幅を広げている。ソウルフルな歌声の日向ハルと、個性的なアニメ声の十束おとはなど、本来ならば同居できないほど多様なメンバー全員の持ち味が、これまで以上に引き出され、完成された統一感を表現している。フィロのス最高。つまりは宮野弦士最高。
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