メジャーアイドル楽曲部門
1位 いかれたBaby Twilight Room Version / モトーラ世理奈 :3pts.
フィシュマンズ1993年楽曲カバー。ジャケは沢渡朔。12インチ、ホワイトビニール。歌が上手いとか下手とかそういうものでもないし、この企画が立ち上がった経緯も知らない。Dr.茂木欣一/Ba.柏原譲のフィッシュマンズメンバーが演奏するメインバージョンは音があまりにも饒舌で鼻につくかもしれない。「Twilight Room Version」は、彼女が部屋で観ている夢の中で聴こえてくる音、寝る前に小さな灯で図書館で借りてきた文庫本を読みながらの鼻歌、小宇宙のささやかさな尊さがある。「宇宙 日本 世田谷」のようなスケール感の時代ではない。グローバル・ヴィレッジ/手のひらから世界中繋ぐコミュニティ、そんな「理想」の世界がありふれてしまった結果、全てが晒され、政府ではなく市民自身がビッグ・ブラザーとなって相互監視する時代に、デジタルネイティブの観る宇宙は、多分あの頃の宇宙とは違う。
2位 WANING MOON / MELLOW MELLOW :2.5pts.
ビートで引っ張るR&B「Hit Me Love」(ハロプロでもお馴染みのAKIRA曲)か、宮野弦士の「WANING MOON」で迷ったけれど、今年らしさでこちら。宮野氏へ「今回は星野源でお願いします」とオーダーを出したらこれが上がってきて、音録ってMVまで完成した時のテイチク社員の興奮を想像しながら相変わらず毎日聴いている。イントロから完璧にキャッチーでスィートなミディアムソウルポップ、抑えめのMAMIの歌からBメロSENAがにバトンタッチした瞬間の視界の開け方、そのサビをMAMIでまた抑える、歌割りでフィルターの開閉のように湿度が変わる。そして柔らかなHINAの2バースに入る直前に一発だけ入るクラップ!「欠けた月」の絶妙な切なさを湛えたラストのシンガロングコーラス。最高。
3位 シューティングスター・ランデブー / sora tob sakana :2pts.
TIF2019最終日、湾岸マジックアワーのSKY SATAGEでの一発目がこのSchool Food Punishment/SEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HER/siraph蓮尾理之によるディスコティークナンバーだった。この時間のSKY STAGEにしかないこの感じこの選曲。サビの癖の強いコードワークが憎たらしいほど洒落ていやがる。
4位 コトバドリ (Shin Sakiura Remix) / 原田知世 :1.5pts.
原田知世、今年初めて「みんなのうた」に採用される。曲提供は赤松隆一郎(アンチモン)。伊藤ゴロー(naomi&goro/moose hill)や高橋久美子(ex.チャットモンチー)、キセルらによる宮沢賢治チルアウトファンタジーな前アルバムも素晴らしかったが、今回の飛び跳ねるようなポップさと、年を重ねてまさに円熟、少しハスキーの入った優しく上品でまろやかな声。そしてSIRUPや向井太一プロデュースでお馴染みShin Sakiuraの洒落たリミックスがその声に最高に馴染む。
5位 Tokyo Burning / lyrical school :1pts.
RIP SLYMEのPESが初めてサウンドプロデュースを手掛けた楽曲。The Clash「Londons Burning」からアナーキー「東京イズバーニング」経由で、昭和の退屈と鬱憤は、逢えない時間に心を焦がす都会の恋歌に。「AI」の押韻で始まるAメロの待ち焦がれる愛、肌温度の高いBメロは裏入り三連の脚韻、「Tokyo Burning 君とFalling, Falling down/Tokyo Burning 君とFlying, Flying high」のアップアンドダウンは「上がってんの?/下がってんの?」だ。「シャープペンシル feat. SUSHIBOYS」も最高だったし、作家陣の世代的な偏りもあって割とオールドスクールを重視するアイドルポップス/アイドルラップの中で、現行のヒップホップやシティポップを貪欲に取り込んで時代に寄り添うリリスク。もっと売れてくれ。
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