インディーズ_地方アイドル楽曲部門
1位 デジタルリレーション / SAKA-SAMA :3pts.
70s~90s初期のシティ・ポップスを思わせるような楽曲。特別新しいことはないけど、SAKA-SAMAという不安定で絶妙な歌声との親和性がとても高くてエモーショナルを誘う。初めて聴いたときは衝撃的で、手に持ったビールの炭酸があっという間に抜けていきました。淡々としているようでグルーヴを生み出すドラムとパーカッション、要所要所で色気を出してくるベース、遊び回っているギターやシンセ。それぞれの見せ場があって聴く度に新鮮で楽しくて面白い。デジタルな関係性だとしても、イヤホンを耳に入れて再生ボタンを押すだけでこんなに素敵な楽曲とお手軽に会えるのは嬉しい限りです。
2位 ミライサーカス / nuance :2.5pts.
「ミライサーカス」の曲名の通り、音使いや音選び、イヤホンでないと聞き逃してしまうほどの細かい遊びが散りばめられたサーカスのような一曲。例えば松本零士のような世界観で、もっと重厚感を持たせた聴かせる曲にもできたようにも思いますが、シンバルが多く入っていたり盛り上がりどころを作るのが上手かったり、あえてキャッチーな音を使っていてバランスがすごく良い。ラップパートには元来の世界観から少し逸脱した「女の子らしさ」があり、きちんとアイドルソングとして纏められているのも素晴らしいです。あとは…この曲を聴いて、良い!と言わなければセンスを疑われてしまいそうな圧迫感があって…セコいですね。勿論良い意味で、です。
3位 うぃんたー・まりん・すのー / SAKA-SAMA with ボンボヤーズ :2pts.
正直、イントロを聴いたときはフィッシュマンズの新曲か何かかと思いました。この楽曲がSAKA-SAMAの、Lo-Fi ドリーム・ポップ・アイドルたる所以。と言っても過言ではないほど彼女らを代表する一曲な気がします。曲名の通りの冬曲で「冬の海に降る雪」文字で見るとすごく寒くて冷たい印象ですが、曲として聴くと温もりを感じる不思議な感覚。冷たくて尖っているはずの冬の海が、やわらかく降ってくる雪を優しく抱きしめているような。チルなレゲエ調がどこか牧歌的で、油断すると泣いてしまいそうになります。ボーカルの「未完成感」もまたこの曲の完成形な気はしますが、オケとボーカルを再録し直したものも聴いてみたい。
4位 Wondering Girl / 彼女のサーブ & レシーブ :1.5pts.
まず彼女のサーブ&レシーブのアルバム「サービス・エース」に収録されている曲はどれも甲乙が付け難いくらいに良曲で、普通ならここまでまとまったアルバム作品は味付けに飽きたりもするんですが、口直しの曲がないままにさらりと1枚を聴き終えられるのは素晴らしい。その中でも「Wondering Girl」を選曲したのには正直そこまでの理由は特になく、なんとなく、です。80sのどこか懐かしい雰囲気だけど古臭くなく、上質なメロディーライン。なんとなく口ずさんだり、ふとしたとき頭に流れたり。当たり前にそこにあって、当たり前に好きになれる普遍的な曲だなって印象です。そういうものを名曲って呼ぶんでしょうか。
5位 ルカルカ / nuance :1pts.
nuanceでは初(なのかな?)の、ジャジーな一曲。ジャズというものに詳しくないので、感覚的な意見しか出来ないんですが。イントロからエネルギッシュさがあり、安易な表現をするなら、単純に格好いいです。自立した妖艶な女性を思わせる歌詞で、シティっぽいんだけど、ただ洗練されているだけではない。それこそ、このグループの拠点地である横浜っぽいさを曲中に感じました。そんな大人びた魔性の女性を演じるのが、まだどこか垢抜けていない(褒め言葉です)女の子たちで、どこか背伸びをしているような、大人の世界を覗いているような。そんな「ハイカラさ」を感じれて、とても好きです。
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