楽曲部門
1位 弱さじゃないよ、恋は / つばきファクトリー :3pts.
どこかケルティックなテイストも感じさせるリフから始まり、ベースがタイトに8分を刻むイントロで一気に引き込まれます。Aメロで女性ボーカルにしては低い音も使い、Bメロ、サビへの盛り上がりを強調しているのは実に巧みだと感じます。2番Aメロでの歌に呼応するように変化をつけるハイハットも気持ちいいです。
情景描写と心情の表現を織り交ぜて、景色の中に感情が浮かぶような歌詞も素敵です。「街の風景を見て“綺麗”と思ったときにそれを共有する相手が傍にいる喜び」を「「綺麗だね」って素敵ね」の短いフレーズで表現しているのが見事です。
まさに歌詞のように「なぜかこみ上げる 泣けてくる」1曲。
「誰かと生きることを選ぶのは弱さではない」という歌詞のモチーフは、同じ作詞者によるJuice=Juiceの『「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?』とどこかで通じるものかなとも思います。
2位 プラトニック・プラネット (Ultimate Juice Ver.) / Juice=Juice [金澤朋子、高木紗友希、宮本佳林、植村あかり、段原瑠々、稲場愛香、工藤由愛、松永里愛、井上玲音、有澤一華、入江里咲、江端妃咲] :2.5pts.
まさに「圧巻」。マイナーペンタトニックを使った印象深い冒頭の「愛 愛 愛 愛」からイントロも間奏も最小限でひたすら歌の力で最後まで引っ張っていかれるような感じ。
「アフロディーテ」「ほらね見て」、「マグダレーネ」「もしかして」の押韻も気持ちよく耳に残ります。
個人的に大好きなのがギターソロで、ワントーンで1小節押しきるエモーショナルなプレイで始まり、後半ではちょっとジャジーなテイストの音使いへと。激しさと洗練が同居しているようなギターソロは、この曲全体を象徴しているように思えます。
3位 雨の中の口笛 / Juice=Juice [工藤由愛、松永里愛、有澤一華、入江里咲、江端妃咲] :2pts.
「ダーリンこの先で」のフレーズで幕を開け、直後の「はぐれたりしないでね」で(「はぐれたーり」と歌われているため)「ダーリン」と「たーり」と似た響きを重ねていく気持ちよさに引き込まれました。その後のウ段が続く「トゥトゥ トゥルトゥ」のあとに「並んで歩く」と、最後にウ段ふたつが並ぶ脚韻も、きちんと収まる心地よさがありました。
中盤の「相合傘」「ないない、まだ」「曖昧だな」と「A−I−A−I−A−A」を重ねていくライミングも気持ちよいですし、同時に韻を踏まない「愛してる」のフレーズを引き立てていると思います。
全体的に韻の気持ちよさを感じる曲でした。
4位 ないものねだり / Bitter & Sweet :1.5pts.
アコースティックギターと軽く歪んだエレキのストロークで始まるイントロからもうたまらない。シンプルなようで随所で動いて躍動感を生み出すベースや、さり気なく効果的に使われるタンバリンなど、楽器のアンサンブルがとにかく魅力的です。
「いい子」が抱く葛藤を歌う歌詞もBitter & Sweetのふたりに合っているように感じます。あまり歌詞には使われそうもない「うらぶれて」という言葉を使っているのも一つの引っ掛かりを作っていて効果的。2番サビで「ほんとに大事なことは何だ? ありのままでいることなんだ」と、同じ「なんだ」の発音で問いと答えにしているのも好きな部分です。
5位 GYB!! / HY:RAIN :1pts.
この曲を「ハロプロ楽曲大賞」で入れることに迷いも感じましたが、この曲が劇中歌として使われていたアニメ『シャインポスト』は今年かなり入れ込んだ作品なので、その意味もあって入れることにしました。
半音を巧みに使った「Get you back! Get,get you back!」を連呼するフレーズがとにかく印象的。(そのパートをAメロとして、以下B、C、D、サビとすると)Cメロ、Dメロ、サビはA、Bとは異なり四七抜き音階で作られており、メリハリを付けるとともにキャッチーさを生み、全体として耳に残りやすい曲になっていると思います。
歌詞は別れた恋人に「あなたにふさわしいのは私なのだからあなたを取り戻す」と呼びかける内容ですが、アニメ本編ではこれが別のアイドルグループで活躍する友人でありかつての仲間への気持ちの表現として使われていたのが曲の印象をより強くしています。
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