メジャーアイドル楽曲部門
1位 トーキョー・イノベーター / CY8ER :3pts.
東京を題材にした曲はバラード曲が多いが、この曲は珍しくアップテンポである。東京の中でも夜の銀座中央通りを思い浮かべるようなオシャレなEDMサウンド。伝説のガチマジアイドルがこんなオシャレな曲でメジャーに乗り込んできたという衝撃はあっただろう。KOTONOHOUSE氏の手掛ける多くの楽曲に入る合言葉「え、アタシ!?」がまたいい味を出している。情報で溢れる東京の様子とそれに負けず明日へ未来へと向いて生きていこうという歌詞も東京ならではのストーリー。来月解散する伝説のグループの、これまた伝説の一つである。
2位 清濁あわせていただくにゃー / わーすた :2.5pts.
平成アニソン大賞受賞曲のうち5曲も手掛けたアニソン界の重鎮・ユニゾン田淵智也がついにソロ名義でもアイドル界に乗り込んできた。編曲は岸田勇気氏だが田淵らしさは全開。歌詞も田淵色がしっかり出ているが、わーすたの世界観もしっかり保っており、喧嘩せず共存しているのが非常に気持ち良い。アルバム"What's "standard"!?"の1曲目ということで"What's standard?"というフレーズを一番頭に持ってきたことでしっかりと"アルバムの"曲になっている。これまでの田淵提供曲にもアルバムの1曲目は多く、自身のバンドUNISON SQUARE GARDENや制作ユニットQ-Mhzの楽曲も含め、"アルバムを曲順で聴かせる"1曲目の作り方に非常に長けていると感じる。今作でもそれを改めて実感した。
3位 Redice / CYNHN :2.5pts.
初めて聴いた時、「これは本当にアイドルやヴォーカル・ダンスユニットの楽曲なのか!?」と口に出したほどクオリティの高さに驚いた。5人バンドの曲ですと言われても全く違和感がない。特にAメロからBメロ、07年以降のくるりを彷彿とさせるメロディ・リズムと音作りがロック好きにはたまらない。その分サビは少しキャッチーな仕上がりになっているのも特徴的。この楽曲クオリティは本当にロックバンドそのもの。
4位 大冒険をよろしく / DIALOGUE+ :1pts.
アイドル楽曲という事を無視して評価するならもっと上位に来ているが、個人的にアイドルと位置付け難いグループなのでこの位置になった。田淵智也は声優ユニットにここまでさせるのかと驚いた楽曲。BPM自体速い上にヴォーカルの最高点はなんとF5という超ハイトーン曲。メンバーも田淵氏の要求にしっかりと応えて歌っているのだから相当なものである。また編曲面では、元は田淵氏なのか堀江氏なのかは不明だが2番のサビ前の一瞬の間にベースの高速スラップが入っている。これが一つのアクセントになり、2番が1番以上に盛り上がるように作られている上、そのスラップ自体がこれぞプロのベーシストの技なのだというのが伝わってくる。
5位 水着とスイカ / Run Girls, Run! :1pts.
DIALOGUE+と同様にアイドルとは位置付け難いグループではあるが、楽曲の良さは変わらないため5位に入れさせていただいた。アイドルや声優ユニットにトロピカル寄りのGlitch Hop系サウンドというのがとても新鮮で、新時代の幕開けを感じた。朗読部分が楽曲内に挿入されている所が特徴的。Glitch Hopやトロピカルのサウンドに語り口調の朗読が入るというのは非常に新しいが、声優ユニットだからこそできる曲の作り方であろう。ピアノとアコースティックギターのサウンドが丁度良い具合にJ-POP感を出しており、落ち着いた雰囲気を醸し出しているのもまた魅力である。
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インディーズ_地方アイドル楽曲部門
1位 Square / BYOB :3pts.
今月、突然年内での活動終了を発表したBYOB。数々の名曲を残してきたシンセカイセン⇒BYOBだが、今年リリースされた中でもとりわけ自分の耳に響いたのがSquareである。TOKYO GIRLとキーが同じといったこともあるのだろうがPerfumeを彷彿とさせるようなメロディと音作りが特徴的。基本は王道なEDMサウンドだがどこかクセになるような音作りで、特にサビ部分ではヨナ抜きメロディで日本の都会の夜のような雰囲気を醸し出している、まさに中田ヤスタカの系譜を継ぐ楽曲である。それにBYOBメンバーの力強い声が重なることで"BYOBらしさ"、"BYOB色"が現れ、しっかりと"BYOBの曲"として存在している。活動が終了してもずっと聴かれてほしい楽曲である。
2位 絶対に絶対に絶対にGO! / RYUTist :2pts.
ROUND TABLE北川勝利氏が手掛けたポップチューン。曲から歌声から地方のインディーズアイドルとは思えないほどのクオリティである。アルバム"ファルセット"では、アルバムの7曲目、次の青空シグナルと共に中盤の盛り上げを担っている。北川氏作編曲というせいか少しアニソン的要素もチラホラ見え隠れしているのも面白い。とはいえこの曲の、特にストリングスの音はまさしく"RYUTistの音"で、グループカラーがしっかりと出ている曲なのである。ライブでの完成度も非常に高く、これはRYUTistは末恐ろしいグループになるぞと思っている。
3位 夢を語って生きていくの / 群青の世界 :2pts.
ゲスの極み乙女。を彷彿とさせる楽曲。こういう複雑な譜割りの曲がアイドルにもやってきているというのがアイドル"楽曲時代"の象徴だと思う。よくよく聴いてみるとBメロなどでは打ち込みっぽいシンセドラム音も聴こえる。グループ自体楽曲に重きを置いており、楽曲時代を象徴する存在になっていくであろう、今後も目が離せない。これがまだインディーズのグループであるという事実に驚くほどクオリティが高く、いやはや末恐ろしいグループである。
4位 Baby baby Cupid / 星歴13夜 :1.5pts.
近年、CY8ERやAppare!などアイドル界にもkawaii future bass系サウンドの波が来ている。この星歴13夜も例外ではなく、私が星歴13夜を聴き始めたきっかけこそこのfuture bass系のサウンドである。Baby Baby Cupidもそのサウンドをしっかりと継承し、星歴13夜の軸となり得る曲に仕上がっている。今後もこの波に上手く乗っていき、注目されるグループになって欲しい。
5位 Moon base / まちだガールズ・クワイア :1.5pts.
アイドル楽曲時代、アニソン・ロックやEDMとの融合などが主流になりつつある中で、かなりベクトルの異なる曲が出てきた。2018年のサマーレイン以来となるプロデューサー石田氏がScudeliia Electro時代にリリースした楽曲のリメイクカバー。スペースロックといった雰囲気のダンスビートナンバーで、MVを含め総じて90年代を意識した作りになっている。令和の時代にアイドルがこれをやるのはかなり挑戦的だと思ったが、令和のアイドルシーンを見返してみると古臭さ全開という訳でもなく逆に新鮮さも感じられる。アイドル楽曲ジャンルの拡大を象徴する曲ではないだろうか。
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アルバム部門
1位 『東京』 / CY8ER :3pts.
来年1月に解散するCY8ER。ベスト盤「CY8ER」を除けば、現時点におけるCY8ERの最初で最後のメジャーオリジナルアルバム。これまではYunomiの楽曲が殆どだったが、今アルバムでは中田ヤスタカを筆頭に、Moe ShopやTomgggといったkawaii future bass界を代表するトップトラックメイカーが集結。初回盤と通常盤で大きく曲順を変えるといった挑戦的試みもなされ、どちらも一つのストーリーとして成立する曲配置になっているのが流石である。伝説のガチマジアイドルの、伝説のアルバムになるだろう。
2位 『ファルセット』 / RYUTist :2pts.
まず作家陣が豪華である。初期から多くの楽曲を提供してきたKOJI oba氏に加え、ROUND TABLE北川勝利氏、TWEEDEES/元Cymbalsの沖井礼二氏といったベテラン勢に加え、シンリズムやパソコン音楽クラブ、ikkubaruといった若手アーティスト、さらにはマルチアーティストの蓮沼執太氏など多彩な顔ぶれである。それぞれのアーティストの色が出つつ、前作以前のRYUTistとしての雰囲気もしっかりと感じられる。それぞれの楽曲の完成度も高く、何度も聴いてしまいたくなるアルバム。また、1曲目が1分台と短くオープニングSEのような雰囲気となっており、通しで聴くとライブを観たかのような気持ちになる、ストーリー性のあるアルバムである。
3位 『DREAMY-LOGUE』 / DIALOGUE+ :1pts.
とにかく楽曲完成度が高い。6曲入りのミニアルバムだが、聴き終わった頃には15曲くらい聴いたくらいに感じるほど中身の濃いアルバムである。それぞれの楽曲に個性がハッキリと出ており、それが活きる曲順になっている。いきなり大冒険をよろしくで「DIALOGUE+時代の幕開け」とでも言わんばかりにブチ上げてから好きだよ、好きでエモーショナルな雰囲気を醸し出し、トーク!トーク!トーク!でDIALOGUE+独特の世界観に連れて行く。そして雰囲気を一変させるクールなダンスナンバー・Domestic Forceからまた一転して明るいパジャマdeパーティーといった明暗の対比があり、ストレートな王道曲であるぼくらは素敵だで締めるという、非常に考えられたアルバム作りがなされている。
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推し箱部門
CY8ER
昨年秋に知りインストアイベントとライブに訪れて一気にハマったグループ。今年のライブ初めは1月赤坂BLITZのCY8ER2020だった。その後コロナ禍でライブに行けない日々が続いたが、4月の緊急生配信以降、配信ライブで応援し続けた。そして来年1月武道館公演を以ての解散発表。「終わりが決まっていたからこそのガチでマジなアイドル」といったことを含め、伝説のアイドルになるだろう。残された期間はあと1ヶ月、全力で推していき、武道館公演でのフィナーレを見届けたい所である。
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