メジャーアイドル楽曲部門
1位 カタルシス / PassCode :3pts.
悲痛、虚無、呻吟、苦渋、悲嘆、絶望、苦衷、悲憤、煩悶、激情、沈痛、苦悩、etc...
この楽曲を言葉として表現するとしたら、こういった言葉が思い浮かぶがどれも「カタルシス」を明確に表現できる言葉としては程遠い。
それ程、深く複雑な想いが楽曲には込められている。
この世界に失望し諦めているが、微かな希望を捨てられない。それは「手を差し出す気なんて無いんだろ?」と「頑張ろう」という言葉に対し期待していないように思える歌詞からも伺える。
本当は自分の存在意義を欲しているのに、「終わりたい」と思い切ることはできないのに、心を閉ざしてしまう。
「僕は世界のどこに立てばいいの?」
曲の中で幾度も自分を探し求めたが、
「僕は世界のどこにもいないよ」という歌詞と共にアウトロ無しで即座に終わる楽曲。
あまりにも絶美な世界観なのに、心は晴れない。
説明のつかないカタルシスという世界は、驚嘆に値する。
2位 VOMiT SONG / BiSH :3pts.
歳を重ねていくにつれ自分が思い描いた立派な大人ではなく"普通"な大人になっているのに気付く。
そんな今は「嫌じゃない だけど無理な感じです みたいな」。
感情に正直になりきれなく苛立つ大人と子供の狭間"思春期"が絶妙に表現されている。
子供の頃の記憶にある桜 遊具 あの場所の間取り、新学期のにおいなどの"景色"を風が送り、思い返す。
こんなにも自分は過去に縋って生きているのか、と痛感させられる。
けれど、「どうにもできやしない」んだとも。
歌詞の随所に出てくるyeah!にはどれだけの逃げ出したい現実への想い、過去に対する想いがあるのかは考えただけで胸が痛くなる。その複雑な想いを辛いという言葉では表現せず、一般的には楽しい時に使うyeah!で空元気さを見事に表現している。
歌詞の一つひとつに過去や今などの"時間"への想いが詰まっている吐き出したくなるような曲。今年最大級の問題作であり、名作。
3位 感情電車 / 私立恵比寿中学 :2pts.
この楽曲の歌詞は正直意味が掴みきれず言葉にすることは難しい。しかし、儚いだとか、悲しい、嬉しいなどという簡単な一言で言い表せない感情を聴き込むほどに感じられるものになっている。
結構楽曲って伝えたい想いだとか何かしらの作り手によるメッセージは限定されている気がするけど、感情電車という楽曲はその限りではない。気がする。
掴み所のないような歌詞やバラードでもなければポップな楽曲でもないメロディが情報量を多くし、その限定されたメッセージ性というものを良い意味で無くしているように思える。
ただ、解釈が難しいように思える楽曲だが感情を揺さぶるような裏で激しく鳴る楽器の音やメンバーの歌声が不思議なくらい自然に耳に入ってきて、自然に涙が出てくるような美しい楽曲であることは確かだ。
「美しい楽曲」。感情電車をどうにか言葉として表現するとしたら、そう表現する。
4位 夏の香のパ・ド・ドゥ / ヲルタナティヴ :1pts.
長く短い夏の日を刹那的に、かつ切ないという気持ちを「眩しくて 刹那い」という秀逸な言葉で表現する夏の香のパ・ド・ドゥ。このワンフレーズは圧巻の一言に尽きる。オルタナティブミュージックならぬヲルタナティヴミュージックは夏の夜の涼しくもあり暑くもある、それでいてどこか寂しくもある独特な雰囲気を余すことなく表現している。実に奇麗で見事な世界観だ。それほど2017年に於いてこの1曲は自分の中で異彩を放ち、あまりにも印象に残った。
夏の終わりを象徴するこの楽曲は、「季節の終わり 見上げれば 君の香が咲いていた」という歌詞でより一層"刹那い"夏を生み出している。「二度とない」この夏も、この瞬間も「忘れないでね」。
夏の香のパ・ド・ドゥ、今夏を代表する素晴らしい楽曲だ。
5位 プロミスザスター / BiSH :1pts.
イントロが流れた瞬間圧倒的良曲であることがプロミスされる楽曲。まさしく2017年を代表する楽曲だろう。「変わらない思いを もっと 見せれたらいいな」と起源を大切にしながらも更なる"未来"をプロミスするという強い想いが込められている"プロミスザスター"は振付も含め一つの曲として完成される。メンバー一人ひとりが指を噛み切り、血で全身を使い大きく五芒星を描くこの曲の象徴的な振付。この振付があってこそプロミスザスターは確たるメッセージの込められた楽曲となる。
たくさんの想いを乗せ、一歩ずつ着実に確実に歩んでいき、「あの空」を染めていくBiSHの驀進する姿をこれから自分達は目の当たりにするだろう。そう感じたきっかけとなったこの楽曲は、まさに屈指の名曲と呼ぶに相応しい。
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