楽曲部門
1位 Wake-up Call ~目覚めるとき~ / モーニング娘。'23 :2pts.
決して明るい曲調ではないのですが、閉じた壁を内側から壊すような炸裂感を感じた曲。それだけでも十分サビとして成立しているフレーズに続けて「夜の底で」と畳みかけるように展開していく爆発力がすごい。電子音で構築されたバックトラック、大胆なリズムの変化、ファルセットの多用、ボーカルへのエフェクトといった、近年の娘。楽曲を象徴するような要素を押さえつつ、これまでと違ったタイプの楽曲を作り上げているのが素晴らしいと思います。
2位 でも…いいよ / つばきファクトリー :2pts.
冒頭、おそらく意図的に歌詞が聞き取りづらいサウンド・歌い方にしていて、パッと聴いたときに海外の曲? と思うような感覚があって、不思議な浮遊感で曲の世界へと引き込まれます。
わりと半音を多用したメロディだと思いますが、Bメロの最初のフレーズやサビのコーラスパートなど、随所にヨナ抜きのフレーズを入れてオリエンタルなイメージを感じさせているのも巧みな部分だと思います。
歌詞は椿の花言葉である「控え目」ゆえの想いの深さを感じさせる、ある種古典的な歌詞でもありますが、一方で「気づいてないっていう芝居 とっくに限界みたい」「はなやぐ報告 近頃の女子トーク」など、ヒップホップのライミング的な韻の踏み方が用いられているのは面白いと思います。
3位 プライド・ブライト / Juice=Juice :2pts.
年少のメンバーが増えたJuice=Juiceが過去の曲をライブでやっているのを観たときに、ちょっと「背伸びしている感」を感じた曲が正直何曲がありました。この曲はそういう曲の路線を引き継ぎつつも「私は 幼い?」のワンフレーズで現在のJuice=Juiceにふさわしい曲になっているように感じました。
Bメロの「Only one or No.1」「Only one & No.1」が「レ ファ ラ レ #ド ファ ラ」「レ ファ ラ レ ド ファ ラ」で、長七度と短七度の半音の違いでこのふたつのフレーズへの主人公の感情の違いをメロディで表現しているようなのも好きな部分です。
4位 グリーン・フラワー / 佐藤優樹 :2pts.
歪んだエレキギターやアコースティックギター、オルガンといった編成の、骨太とも言えるサウンドに佐藤優樹さんの歌声が乗るのが新鮮で、かつマッチしていて魅力的な1曲。
緑の花のクレマチスに象徴させて「理解してくれる関係」を歌った歌詞は、個人的にはシングル収録の6曲の中で一番佐藤さんのイメージに合っているように感じました。
サビの歌詞の澄んだ青空が浮かぶような描写と「両手にいっぱい 奇跡をあげたい」「仰向けに寝て 空抱きしめて」の脚韻が心地よいです。
5位 Ding Dong / 佐藤優樹 :2pts.
サウンドは現代的なダンサンブルなサウンドですが、メロディはヨナ抜き音階を基本にしていて「歌謡曲的」ともいえるような間口の広い普遍さを持った楽曲だと思います。その中でサビ後半の「全て曝け出して」のフレーズはそれまで一度も使われていない四度の音から始まることでそれまでのメロディと違った雰囲気と浮遊感を生み出していて、全体としてかっちりと計算されて作られた「見事な曲」という印象です。
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