楽曲部門
1位 エキストラ / 譜久村聖 (モーニング娘。'21) :3pts.
起承転結の起承までで抑えて決してドラマチックにはならないメロディーに巧みな情景描写をシンプルに収めた比喩的な歌詞。KANの味わい深い作品を10年選手の譜久村さんが独りで切なくただし感情を抑えて歌う。作者も演者も巧者だからこそ成立するどこを切っても「エキストラ」な構成。終始エキストラになぞらえた無彩色の情景描写のなかで、直截的に繰り返される「大好きです」というフレーズだけが色鮮やかに浮かび上がる。ひとつひとつの言い回しや絶妙なバランスで配される語句が素晴らしい。
2位 愛してナンが悪い!? / モーニング娘。'21 :2.5pts.
アルバム「16th ~That's J-POP~」第1曲目、第1音目から優勝してる楽曲。歌い始めと並行して始まるビートが気持ちよい。メンバーの声が楽器の一部として機能しておりコーラスやラップパートもシームレスに連結されてて耳馴染みもよい。1番の冒頭牧野さんが強めに入っているのに対し2番の冒頭横山さんが甘めに入っている構成も大好き。そして「深夜焼肉デイト」とか「夏が来る」の裏でほのかに聞こえるコーラスなのか音なのか分からないライザー的なのも好き。
3位 フレフレ・エブリデイ / BEYOOOOONDS :2pts.
いぬやねこおはようのうた。BEYOOOOONDSの楽曲全体に言えるがパート割が巧み。メロディーや歌詞が非常にキャッチーな楽曲だが各種「おはよう」の歌い分けも秀逸。そして終始明るい曲調のなかで「フレフレ過ぎてゆくエブリデイズ」からの少し切ない響きによるアクセントも心憎い。
4位 愛されルート A or B? / アンジュルム :1.5pts.
「全然起き上がれないSUNDAY」「ミラー・ミラー」あたりから続くオサレなアンジュルムの集大成。The Balladの「おとなの掟」で急激に花開いた笠原さんの特性が卒業前にきちんと商品に収められたのは有り難い。どのメンバーも新しい一面を見せていてアンジュルムとしても一段階進んだ感がある。「攻略不可ディプロマシー」の単語チョイスかっこいい。
5位 みんなと歩こう2 / BEYOOOOONDS [夢子、ノゾミ、カナエ、タマエ、山上、浜田先輩、ネネ、ショーコ、ユッコ、ツムギ (西田汐里、山﨑夢羽、里吉うたの、高瀬くるみ、江口紗耶、一岡伶奈、小林萌花、清野桃々姫、岡村美波、前田こころ) / セリフ:ヒカル (平井美葉)] :1pts.
演劇女子部「眠れる森のビヨ」終盤の楽曲。序盤で披露した同名曲ではポップで希望に満ちていたものが終盤では一転してすがりつくような悲しみの楽曲に。説得する声、震える声、諭す声、すがる声、訴えかける声、呼びかける声で展開される「進もう」「手を取り合ってすぐそばにいる」「焦らなくていいから」「傷ついたら逃げる?違うでしょ」「正解はこの先にある」という「共に歩もう」というお誘いがある種の脅迫となった魔曲。
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