楽曲部門
1位 意識高い乙女のジレンマ / つばきファクトリー :2pts.
無機質にも感じるサウンドに乗った少し気だるげな独白から始まり、徐々に高まりを見せる「葛藤」。その葛藤の内容がアイドルの楽曲としてはわりと珍しく思えるものだったり、サウンドも歌詞も含めた楽曲全体のちょっと不思議な雰囲気に惹きつけられました。発音しにくいために普通なら歌詞では避けそうな「取捨選択」という言葉を使っていたり、本来の言葉の順序を入れ替えてあえて不自然にしたような「恋を知らなきゃ 愛はできない」という一節など、歌詞がちょっと癖のある感じになっているところも好きですし、やはり歌詞の面で「なんて」と「ナンセンス」「ナッシング」の押韻の気持ちよさもすごく好きです。
2位 KOKORO&KARADA / モーニング娘。'20 :2pts.
あえて音の隙間を感じさせるようなサウンドと、Bメロでふたつの異なるメロディ・歌詞が同時に歌われ(KOKOROとKARADAを象徴するかのように)ひとつに融合していくところなどが好きなところです。そしてサビの「君が好きさ」は、サ行の持つ摩擦感がこのフレーズを音として強く耳に残し、様々な感情を経て帰着したシンプルなメッセージを際立たせていると思います。
3位 空を遮る首都高速 / 和田彩花 :2pts.
リズムパートやシーケンスフレーズのシンセサウンドと、ピアノやストリングス、シェイカーといった生楽器系のサウンドの融合が心地いいです。パートによってベースサウンドの有無を巧みに使っているのも好きなところ。歌詞にはあまりポップミュージックでは使われないような言葉も使われ、ただ気持ちよく流れていくだけではない引っかかりのある作品になっているのも魅力です。
4位 Yellow Butterfly / 吉川友 :2pts.
吉川友さんは曲によっては曲を提供するクリエイターの色を強く感じることもあったのですが、この曲ではナチュラルな吉川さんを感じました。本人が初めて手がけたという歌詞は、「冷や汗」と「幸せ」、「雑踏」と「颯爽」「葛藤」と、響きの似た言葉を重ねるテクニックも見事。いままでの道のりを振り返るような歌詞にデビュー曲のフレーズも用いて「これまでとこれから」を前向きに感じせる爽快感が気に入った部分です。
5位 抱きしめられてみたい / つばきファクトリー :2pts.
「きみ」との関係に感じる漠然とした不安を歌った1曲……と思いきや、曲の最後にその不安の具体的な理由を明かすという、ちょっとトリッキーな仕掛けにドキリとさせられました。もちろんその仕掛けだけでなく、情景描写から感情へと移っていく歌詞の構成や、不安定な心を象徴するようなサビの半音の音使いも好きなところです。
|