第18回ハロプロ楽曲大賞'19 >> 個人ページ 月野にこ

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ニックネーム:月野にこ


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楽曲部門


1位 青春Night / モーニング娘。'19 :3pts.
  奇妙な歌である。サビの冒頭以外に青春という文字が現れない。むしろこの曲に現れるのは、人生、寂しい夜、終わりの算段、負のループ、アオハルとは一切無縁に思える辛辣で物憂げな場面ばかりだ。なんなら曲名が夜である。
だけど、これこそつんく♂イズム。人生いつだって、幸せを実感するのは幸せから離れてから。「悲しみのない星ではやさしくなれないだろう?」と私たちに訊ねた彼は、同じ問いを投げかけ続けることで幸せを知る方法を教えてくれる。
ガラガラゴーという合言葉は幸せの手に入れ方として少々手荒。脱出という消極的行為も青春が題材の歌とは思えない。だけど、それくらい強引に自分の人生を楽しもうと意気込まないと、青春という刹那を逃すよと言われている気もする。
1位の理由に、楽曲の洗練されたファンクさ、メンバー配置の完璧さも加えたい。特にラップを歌い上げているのに私の涙腺を緩ませる譜久村聖さんにいくらでも感謝したい。
2位 全然起き上がれないSUNDAY / アンジュルム :2.5pts.
  食べる為に走っとこ的な、へなちょこだけどちゃっかりしてる女の子の歌が来るかと思わせる曲名に、恋の想い出を全部ライターで燃やすような怨念ソングだった。その火で煙草を灯して夜の街に消えていくんじゃないか心配で仕方ない。
「いいカッコボーイ」と「バカ子ちゃん」はれっきとした発明品である。一度聞いたら最後、あらゆる場面で使いたくなる常習性。そんなパワーワードの煽り運転に初めは笑っていたものの、中盤の「真面目に生きてりゃ良い事もあるんだと思ったな」で絶句する。恋愛ほど、努力が結果に比例しない営みはない。結局、恋愛はいつもいいカッコボーイとバカ子ちゃんの話なのかも。だからそれを歌にしたつんく♂氏はやっぱり偉大。
中西香菜さんの歌は、彼女との喧嘩みたいにダイナミックな感情が乗る。台詞より台詞じみている。伊勢鈴蘭さんのダンスもアクセントとして有能。その2点はグループを超えて推したいと思った点。
3位 I surrender 愛されど愛 / モーニング娘。'19 :2pts.
  ここまで聞きごたえのある尖ったロックチューンなのに曲名は駄洒落。それこそ私が小さい頃から知っているハロプロであり、謎の安心感さえ生まれる。
「わっかんないべ」の部分でその安心感は更に増幅する。リズムや語感を大事しまくった歌詞は耳を鷲掴みにする代わりに、文字に起こしたときの違和感が尋常じゃない。でも、こんなにありとあらゆるモノが消費されていく世の中で、ほんのちょっとした言葉の使い方で消費者にひっかかりを残せるセンスは必要だと私は信じてる。ダサくても駄作じゃない、それがハロプロだと私は沼に落っこちてから少しずつ理解し始めた。
「最低最悪 but 好き」の部分だけでも頷きが止まらない。相反する最大ボリュームの感情を同時に抱えてしまうところが恋心であり、私たちが抱える矛盾を明らかにしてくれるのが音楽や芸術じゃないかな。もちろん、この曲の功労者は羽賀朱音さん。どんなメンバーにも油断する暇はない。
4位 人生Blues / モーニング娘。'19 :1.5pts.
  順位が下になったというよりは、この曲はワクチンのように後々効いてくるから今はここという話。
何せこの曲の歌詞は、わかってるけどなかなか実現を渋ってしまう甘さとか怠惰な部分をことごとく見破ってくる。けれど、実は相当に優しい曲だ。思い悩んでるときにバランスが大事なんて、私たちは忘れがちだ。絶対忘れる。雨が止んだ後の電車の傘くらい忘れる。丁度いいところで笑ってなんとかすりゃいい。このワクチンが効く日がいつか私には来る。
アトラクションに乗った高揚感漂わせるイントロ、急転するAメロの不穏さ、親切なアドバイスなのにまだ若干の緊張感が残るBメロを通過すると、古き良き時代を彷彿とさせるメロディーが視界を広げるように流れる。こんな挑戦的すぎる楽曲をこなせるモーニング娘。はまだまだ世の中から過小評価されている。小田さくらさんと石田亜佑美さんのハモリはこの楽曲の持つ哀愁と不安定さを律儀に表現しすぎている。
5位 恋 / 吉川友 :1pts.
  吉川友さんの歌声は、しっかり甘いクセがあるのに澄んでいて真っ直ぐしている。曲選びを誤ると、曲の個性と声が喧嘩してしまいそうだ。
そんな彼女に、鍵盤の音色の優しさと歪むギターの調和が美しいこの曲は本当に似合うなと聴いていて嬉しくなる。メロディーだって、耳に引っ掛かりを残す強引さと流れるような滑らかさの間を上手くすり抜けていく。バンド曲を歌いこなしつつもアイドル曲に仕立て上げるのは彼女の声質の功績だ。
「こんなに幸せなことがあるって怖くなるな」
爽やかな曲と思わせておいて、幸せに慣れていない弱気な表現が潜む。いつか終わってしまう輝きを私たちに届けてくれるアイドル像と、予期できない恋の果てへの底知れぬ恐怖がリンクする。こんな奇遇な相乗効果を生み出す吉川友さんとアカシック(現:可愛い連中)のタッグであるが今後とも長くお付き合いしてほしい組み合わせである。

MV部門


1位 恋はアッチャアッチャ / アンジュルム :4pts.
  和田彩花さんご本人は辛い気持ちになったのかもしれないが、私は一人で歩くバージンロードのシーンが大好きだ。
相手を必要としない門出は、幸せになるための方法はいくつもあるということが暗示されているようだった。それは事務所サイドの意図したことだったのかどうかは不明。けれど、そんな風に感じた人間がいることも事実なので、是非とも書き留めておきたい。
なんでもない日常生活の風景と、仏教世界のようなおふざけのバランスもとても好きだ。
「何がしたいの?怒りたいの?」からのドンデン返し、「踊りたいの!」の無理やり感をここまで楽しくMVにできたのは拍手したい。
2位 花が咲く 太陽浴びて (Dance Shot Ver.) / モーニング娘。'18 :1pts.
  
3位 青春Night / モーニング娘。'19 :1pts.
  

推しメン部門


佐藤優樹 / モーニング娘。'19
  天才だと持ち上げる気はさらさらない。もっと失敗しない方法があったでしょうとか、どうしてそういう結論になったのとか、ファンにすらそんな気持ちになる場面を見せまくってくれる波乱万丈な彼女に、そんな言葉を与えて停滞させてしまいたくない。
衝突してばかりだった同期と笑顔で過ごせる日々が増えていったり、笹色になった北海道凱旋を通して後輩と自分の若かりし頃を比較したり、先輩らしさをどんどん更新している彼女。先日の代々木公演でのピアノ演奏も言葉を失うほど美しいものだった。自作の曲だって今年初披露した。
かと思って褒めようとしたいのに、結局頭に浮かんでくるのは「人生Bluetoothの発売まであと2minutes!」という恐ろしい言い間違いなのである。彼女の今後を予想なんてするのも勿体ない、ただひたすら私は、人生初の推しメン佐藤優樹に振り回されてたい。私を沼に落としてくれてありがとう。