楽曲部門
1位 次々続々 / アンジュルム :3pts.
「音」としての言葉と「詩」としての言葉がどちらも充実している楽曲。「音」としての言葉に欠かせない曲のギミックも豊富で「ツギツギゾクゾクツギツギゾクゾク(以下略)」「ウォーッオーッオオー」など原始のノリがふんだんにちりばめられている。それでいて単なる言葉遊びや音遊びに終始せず児玉雨子の得意とする「女子の焦りと期待」に乗せて「変わり続けられるような勇気」「変わらぬままそこにある真理」「行っておいでゾクゾクさせてやれ」とアンジュルム各メンバーの「今」と卒業していく田村芽実へのはなむけの言葉が意味のある形で構成されている技巧的な楽曲でもある。個人的には「次々続々 足音コツコツ 夜明けと夕暮れやってきます」の言語センスにゾクゾクする。
2位 人生はSTEP! / ℃-ute :2.5pts.
古いラジオから流れてくるような音から始まる楽曲。イントロの振付が大好きなのにYouTubeのMVではイメージカットにされてしまっている。何故だ。歌詞は「The Middle Management ~女性中間管理職~」から続く大人の女性のちょっとした悲哀から「なんのなんの」と前を向いて進んでいく様を℃-uteならではの確かな技術で歌い上げるもの。メンバーひとりひとりの声質の組み合わせ方が巧みで、寄木細工のように無理なくバラエティ豊かな構成になっている。進歩と調和。力まずにこれだけの構成を実現する力は実に得がたいものである。
3位 東の地平・西の永遠 / フロル、タダ、バセスカ、フォース、東の人々、西の人々 :2pts.
演劇女子部の舞台「続・11人いる!」テーマ曲。サビに登場する原作由来の「東にはるか 西にはるかなる いく千億の宇宙の 永遠なる地平よ」というフレーズが秀逸。当楽曲名である副題も含め萩尾望都の原作は色彩豊かな言葉で溢れているが坪田文はその色あいを損なわずにうまく歌詞に落とし込んでいる。音楽は和田俊輔によってドラマチックに構成されており、重厚ながら重すぎないシンプルなメロディーに演劇女子部の若いユニゾンが重ねられて三次元的な広がりが感じられる。サビの右にクルン左にクルンと円を描く振付も大好き。
4位 Tokyoという片隅 / モーニング娘。'16 :1.5pts.
クレイジービーウォウオウォウオウォー。MVも大好きなのだけれど歌唱と音楽も大好き過ぎて楽曲部門に。ヒステリックになりそうでならない歌唱と謎の焦燥感に迫られる音楽、これぞ大都市Tokyo。まーちゃんにしては硬質な「裏切られたとか結局言い訳でェー」からの石田さんの突き放すような「隙があったんだね」に「あ、はい」しか言えない。もっと叱ってくれ。そして「この世界のTokyoという片隅で」の「イーノートーキョー」の平坦さに萌える。いかにもつんく♂っぽい言葉遣いがいいよね。もはや安らぎだよね。
5位 大人の事情 / NEXT YOU :1pts.
ドラマの仮想グループ「NEXT YOU」名義の楽曲。デーデーデーデデデデデデデーデトンカラカンカン。「フー」って入ってる曲は大体名曲説。「いろんな人に止められても」の金澤さんの丸く弾むような甘い声がたまらない。音節毎に息吸ってるんじゃないのかというぐらいの弾み方。サビの「大人の真似して恋しただけだよ罪なら罰してよ」をはじめとした、恋する少女のいじましさと若干の背徳感を帯びた恨み節。「大人の不条理 目を瞑ってきたのにこの恋認めてよ」という我が儘な交換条件を突きつけてくるところに子供っぽさと大人っぽさを併せ持った少女の危うさが垣間見えて最終的にこれはつんく♂による変態曲だなと。前半は「君」に歌いかけてるのに後半は「大人」に歌いかけてる構成もなかなか。
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