楽曲部門
1位 パーリーピーポーエイリアン / アップアップガールズ(仮) :3.5pts.
「サビは歌わずダンスさせる」というEDMの作法に則った挑戦的な一曲。歌詞といい、振り付けといい、(仮)サングラスといい、一見どれも軽薄でダサい。しかし、どれもポップさを併せ持っており、本人達も完全に振り切ってやっているので、見ていて楽しいし、だんだんクセになる。メンバーの個性も爆発していて、2016年版LOVEマシーンといった趣。つんく氏の作る歌詞のような深みまでは感じられないが、そこは求めすぎな気もする。みんなで楽しむための一曲。本家の「泡沫サタデーナイト」がいまいちオマージュの域を脱しきれなかったのは、こういう「振り切れた感」が関係しているのかも。落ちこぼれからの結成といい、往年のモーニング娘。に今一番近いのは、実はハロプロを追い出された彼女達ではないか、と思わせてくれる(もちろん近いからいい、というわけではないが)。武道館公演も感動したし、今年のアプガは奇跡的だった。
2位 次々続々 / アンジュルム :2pts.
歌の中核を担っていた福田花音が昨年卒業し、同じく要だった田村芽実も卒業を発表。不安に駆られていたファンを、大器晩成に続いてまたもや豪快にキックしてくれた一曲。まず、平田祥一郎氏が手がけたサウンドのカッコよさに尽きる。広い会場に響き渡る事を想定したようなEDMで、極限までリズムに寄ったアレンジには自然と体が動いてしまう。EDMやK-POPの良いところを取り入れつつ、J-POP特有の湿り気も残しており、それがつんく氏のメロディーの持つ湿り気とも少し違っていて、また面白い。本人達の歌やダンスもカッコ良く、「パフォーマンスで魅せるアンジュルム」というのを強烈にアピールした曲となった。ひなフェスで初披露された時は、会場の広さとサウンドも相まって本当に衝撃的だったが、「聴くたびに新たな発見、味わいがある」というより、「最大瞬間風速でなぎ倒す」タイプの曲かもしれない、と時間を経て感じてしまった。
3位 恋ならとっくに始まってる / アンジュルム :2pts.
スマイレージからアンジュルムに改名して初めてのつんく氏の曲。一聴すると「えっ、大丈夫!?」って言うぐらい、正直ダサい(多分にあのMVの影響もあると思うが)。古い歌謡曲をサウンドアレンジで何とかしてみようとしたけど、やはり臭みは消せませんでした、といった感じ。でも田村芽実の卒業とシンクロする曲と言われて、半ば無理矢理聴きこんでいくと...「これ、アンジュルムというか、後期のスマイレージじゃん」と気づいた。そう捉えると不思議なことにストンと腑に落ち、聴くたびに好きになっていった曲。こういうドンデンガエシがあるのが、つんく氏の作る曲の魅力ですね。スマイレージ二期の歌声って、つんく氏の書くマイナー調のメロディーとやたら親和性が高い気がします。アンジュルムの今の路線もいいけど、後期スマイレージ好きの自分としては、つんく氏の書く曲も時々欲しいなと思いました。田村芽実の歌声を今聴くと...泣ける。
4位 セクシーキャットの演説 / モーニング娘。'16 :1.5pts.
久しぶりにつんく氏の変態さがにじみ出た一曲。初めてMVを観終えて、「つんくさん、ちょっと何言ってるのか分からないっす...」となり、何度もMVを見返し、CDで何度も聴き直し、ある程度理解できたような気もするが、やっぱり見当違いな気もする...と、人を迷路に落としこむ怪曲。サウンドは何とも表現しがたい独特さ。変てこなミュージカルのようにも聴こえるし、リズムが強いので、妙な清々しさもある。いいのか悪いのかすら分からないけど、何度も聴いてしまい、いつの間にか曲の虜(とりこ)にされてしまう。これぞ、つんく氏の真骨頂。ちょっと変態すぎて、一般的な受けはどうなんだろうとも思うけど、個人的にはこれからもこの沼にズブズブと嵌って行く事でしょう。この曲は工藤遥の声が好み。
5位 The Vision / モーニング娘。'16 :1pts.
初めて聴いた時には「時空を超え 宇宙を超え」(個人的に大好き)の二番煎じのように思えて、あまりピンと来なかったが、聴くたびにこの曲の持つ重みがだんだん自分の中に蓄積されていって、今では大好きな一曲。つんく氏の書く歌詞は人の心をオフガードにしてしまうような不思議な説得力があり、モーニング娘。(及びハロプロ)が他のアイドルやアーティストと一線を画している気がするのは、そういうところもあるのかな、とも思う。何よりこのサウンドに身を委ねるのは気持ちいい。「時空を超え 宇宙を超え」が遠い空の上から青い地球を眺めているイメージなら、「The Vision」は晴れた日の午後に空をゆっくり漂うようなイメージ。
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