楽曲部門
1位 恋はマグネット / カントリー・ガールズ :3pts.
これまではどちらかと言えば目立っていなかった、カントリー・ガールズの「お姉さん組」こと嗣永桃子・山木梨沙・稲場愛香の3人の魅力の強さに脱帽してしまった。全体を通して繊細な印象ながら時に大胆な表現を見せる歌詞と、アイドルポップの域を守りつつ都会的なおしゃれさを醸し出してきたメロディーとサウンドが秀逸。特にサウンドは2010年代テイストと1990年代テイスト、それぞれの甘い音が溶け合って融合している感じが素敵。歌から感じるのは嗣永の安定感と責任感+山木のほとばしる情熱+稲場のぶれないフェミニンさ。この3人の歌の魅力が軸となって曲の世界観を表現している。もちろんそんな3人に臆することなく、年少組の4人も持ち前の個性の豊かさでしっかりついていっている点も頼もしいもの。カントリー・ガールズの「奥深さ」を知る上でもこの上ない一曲。
2位 Dream Road ~心が躍り出してる~ / Juice=Juice :2.5pts.
「少女が自信を手にする瞬間」をコマ送りで表現しているような感覚を覚えたこの曲。サウンド全体で聞けるピアノ音は柔らかい音を奏でていて、全体的に硬質な音つくりの中で際立って印象的。220以上の公演数を数えたライブハウスツアーのクライマックスでつんく♂がこの曲を与えた意味合いは大きい。11月のグループ初の武道館公演という「大きな夢」に向かっていたメンバーに対しての、つんく♂からの問いかけともとれる。つんく♂外の作家の楽曲では高木紗友希を中心に歌い上げる曲が多かったJuice=Juiceが、この曲に関してはどこか心の「不安」を表しているような歌い方をしているようで興味深い。そしてその「不安」を「GO!夢を追え~」の部分で「勇気」に変えている感じ。逆に考えるとそう聞き手が感じるほどに歌の表現の幅が広がったともとれるが、決して「歌の上手さを誇張表現させない」つんく♂曲らしさを感じた。
3位 ムキダシで向き合って / モーニング娘。'16 :2.5pts.
懐かしさと新鮮さ両方を感じるアッパーなダンスチューンに、「過去の歴史」という壁にぶつかるしか出来なかったメンバー11人の本心が美しく溢れだしたかのような歌詞が乗ったこの曲。初めて聞いたときは自分も「こういう曲を待っていた!」と思わずツイートしてしまった。サウンドは「迫力」と「軽さ」と「拡張」の狭間で絶妙な音つくりをしていて、単純に聞いてて「勢い」を感じさせてくれる。11人となった娘。'16の歌は、特に「パワー」「荒っぽさ」の部分で一気にトーンダウンした感じだったが、この曲ではメンバー自身のコーラスも含めて譜久村聖・小田さくらの2人が歌の軸となる形がしっかり出来ている。個人的な印象として「甘く耽美的」と感じてしまったのだが、それはきっと軸の2人のせい…なのかも?決してひとりひとりの歌が大きく目立つわけではないのだけども、11人の歌の力はしっかり感じる仕上がりになっている。
4位 押忍! こぶし魂 / こぶしファクトリー :1pts.
久しぶりに何度も繰り返し聞いているうちに深みにはまっていくような感覚。どこかで聞いたことがあるフレーズ満載のサウンドには、何度聞いてもニヤけてしまう。衣装の応援団スタイルはコミカル(かつどこかサイケデリック?)だが、曲の内容は実に真っ正直な応援歌。単に明るい未来を歌うのではなく「やったことは取り消せない」など直に内省的な部分も歌詞に多く含んでいるのが、ハロプロの応援歌曲にしてはやや珍しいかもしれない。つんく♂ならきっと「そういうときもあるさ~」みたいに表現しそうである。Aメロやサビ後半などで聞ける問題の「投げやり感のあるボーカル」にはさすがに「なにもそこまでやらんでも」とは思ってしまうのだが、言葉を「ぶつけるように」歌うことで曲に大きなインパクトを与えていると考えるようにしている。それでも結局ハマってしまう、ある意味「恐ろしい曲」。
5位 愛のため今日まで進化してきた人間 愛のためすべて退化してきた人間 / アンジュルム :1pts.
「泣く子も黙る」強さを身に着けた今年のアンジュルム。それを強く印象付けたのが「次々続々」だとすると、そこからより内面的な部分にアプローチしてみたのがこの曲なのだろう。なるほど作詞は「次々続々」と同じく児玉雨子氏。メロディとサウンドはEDMではなくテクノポップの側面が強く、「ダンスありき」のサウンドではないからこそ曲の物語を純粋に楽しむことが出来る。そんな物語の印象としては、Aメロでは歌詞とサウンドの印象から実はアンドロイドなのでは?と思ってしまうほどにどこか機械的な雰囲気なのだが、Bメロからサビにかけてはそのアンドロイド(的人物)が、人間的な感情を一気に爆発させていくような「熱さ」が垣間見える。アンドロイドが徐々に感情を持っていく様は、まるで人間の「進化と退化」を揶揄しているような印象。もちろん歌でも忠実に再現していて、「感情を爆発させた」竹内朱莉の落ちサビパートは何度聞いても感動する。
|